おはようございます。公明党の高橋雅成です。通告に従いまして、早速一般質問をさせていただきます。
子供たちが、いじめ、誘拐、虐待、性暴力などから自分自身を守れるように、人権意識や知識、技能を身につけさせる教育プログラムでありますCAPプログラムについて質問いたします。CAP──CAPとはチャイルド・アソールト・プリベンション──発音違うかもしれませんけど──子供への暴力防止の頭文字をとったものです。子供が暴力から自分を守るための教育プログラムであり、わかりやすい人権概念を教え、さまざまな暴力に対し子供たち自身が何ができるかを教えるプログラムです。一九七八年にアメリカのオハイオ州コロンバスのレイプ救援センターで初めて開発、実施されました。以来、全米二百以上の都市で幼稚園から高校までの授業に取り入れられ、アメリカでは百万人以上の子供たちが学校でのCAPプログラムに参加したと推定されております。ヨーロッパ、中南米にも広がっており、現在世界十六カ国でCAPプログラムが実施されております。日本には一九八五年に初めて紹介され、一九九五年からはCAPを実践する専門家(CAPスペシャリスト)を養成する講座が開催されております。このCAPスペシャリストのグループは、全国に百三十以上も誕生し、福岡県にも四つのグループが活動しております。ネットワークセンターであるCAPセンタージャパンや全国のグループの多くはNPO法人となっております。CAPプログラムの特徴はワークショップ(体験的参加型学習)と呼ばれるもので、子供たちに一方的に説明するのではなく、子供の意見を聞いたり、話し合いを持ったり、子供が役割分担の寸劇に参加したりしながら、暴力に対して子供自身の力でいろいろ対処できることを学んでいく点です。この中で子供たちは安心、自信、自由の三つの大切な権利を学び、その権利を奪う暴力への対処法として、ノー(嫌と言う)、ゴー(逃げる)、テル(相談する)の三つを学んでまいります。
さて、最近このCAPプログラムを小中学校やPTA、保護者会、幼稚園の保護者会などで実施しているところがふえております。県や市町村の教育委員会でCAPプログラムを学校の授業に取り入れている自治体もふえつつあります。一例として、埼玉県は平成十五年度からCAPプログラムを県内全域へ啓発する事業を開始しました。内容は、市町村教育委員会の生徒指導主事九十人を対象としたワークショップ一と、小中学校の生徒指導主任教諭千二百六十一人を対象としたワークショップ二、そして実施協力校の教職員、児童生徒、保護者を対象としたワークショップ三の開催、さらにCAPに対する理解、啓発、浸透を図るためにリーフレットを作成し学校現場に配布するなど、充実したものとなっております。また、大阪府は七年前からCAPの講習会事業を行う市町村に対し費用の半額を補助しております。このようにCAPプログラムが広がっている背景には、大阪の池田小学校での事件や、福岡市南区で小学生が火をつけられた事件、また大阪岸和田市の中学生の虐待事件など、子供たちを取り巻く、目を覆いたくなるような事件が相次いでいることがあろうかと思います。CAP講習会を全小学校の授業に本格的に取り入れている東京都葛飾区では、平成九年に痴漢や強制わいせつなどの性犯罪の発生が各地で問題となり、各地区委員やPTAが地域パトロールの実施、「ひまわり一一〇番」、「痴漢注意」の看板、ポスター掲示などに取り組むとともに、区や学校へも対応を求める要望が出された結果、CAPプログラムのワークショップを小学校において実施することになったとのことです。翌年の平成十年度は三小学校でモデルケースとして実施、学校から有効との評価があったため、希望のある学校で実施することとし、平成十一年度は二十校、十二年度は三十八校、十三年度は全小学校の四十九校で実施するまでになっております。学校では、クラス単位で裁量の時間や特別活動の時間で行っております。子供たちの反応は好評で、葛飾区教育委員会は、「友達にいじめられたとき、やめてって言えた」、小学校三年生女子、「人の嫌がること、傷つくことをしてはいけないとわかりました」、二年生男子、「変な人に声をかけられたけど、逃げられた」、二年生男子などの声を紹介しております。さらにそのプログラムの効果を上げるために、保護者に対してもCAP保護者講演会(大人のワークショップ)を実施しております。これは、子供たちが困ったとき、その心配をどのように受けとめたらよいかなどを具体的に学ぶもので、参加者からは、普段の子育てを振り返る機会になった、身を守るためにいろいろなことができるのがわかりよかった、などと好評を博しているそうです。
そこで、まず教育長にお尋ねいたします。本県において、市町村教育委員会がCAPプログラムを小中学校などの授業に導入しているところはありますでしょうか。また、学校やPTA、保護者会、青少年育成会などで実施したところがどれくらいあるのか、そして参加した方の感想はどうかお伺いいたします。
さらに、教育長はCAPプログラムをどのように認識しておられるのかお伺いするとともに、いじめや虐待、凶悪な犯罪が多数発生し、子供を取り巻く環境が厳しい状況にある現在、本県においても暴力から自分を守るための教育プログラム、CAPプログラムを小学校の授業等で実施することを推進、啓発してはどうかと考えますが、見解をお尋ねいたします。
次に、知事にお尋ねいたします。福岡県内においても子供たちが危険な目に遭う事件、事故が絶えません。地域においてCAPプログラム、中でも大人のワークショップを実施して、いじめや虐待などから子供たちを守るべきときだと思います。一例として、アンビシャス運動の中のアンビシャス広場を運営、手助けしている大人を対象にして、大人のワークショップを開催することも考えられます。知事の御所見をお伺いして、第一回目の質問を終わります。
子供たちの安全を守りますためのCAPプログラムでございますけれども、これは県内の一部の小中学校で既に生徒あるいは保護者に対して実施されております。そして、その結果につきましては好評であったというふうに承知をいたしております。地域におきまして子供たちの安全を守る取り組みといたしまして、関係の皆さんに積極的に紹介をしてまいりたいと考えています。
まず、CAPプログラムの実施状況についてでございます。CAPプログラムは、子供がいじめや誘拐あるいは虐待、暴力などから自分を守るための教育プログラムでありまして、本年度は県下の小学校約百校、中学校約二十校において実施をされておると聞いております。多くの児童生徒からは、身を守る方法や心構えが実感できた、また保護者からは、子供への接し方などが実感できたなどの声が寄せられております。
そこで、このCAPプログラムの推進、啓発についてでございますが、このプログラムは参加体験型の学習でございまして、自分で自分の身を守る力を引き出す上で有効な教育プログラムであると認識をいたしております。なお、このプログラムの実施に当たりましては、有料のインストラクターが必要でありまして、その数も限られておるなどの課題もあるとお聞きいたしております。本県でも警察との連携によります防犯教室も充実をしておるところでございますが、児童生徒の安全を守る事例として学校などに紹介をいたしますとともに、今後とも各学校での安全教育や安心できる学校づくりの推進に努めてまいりたいと考えております。
知事、教育長、御答弁ありがとうございました。何点か指摘をしたいと思います。
子供を健全に育成する上で今学校、地域、家庭の連携が盛んに言われております。まさしくそのとおりだと思うのですけれども、子供は学校とか幼稚園とか、あるいは地域、家庭のいずれかに必ずいるわけです。逆に、子供が暴力に遭遇するそういう場も学校や地域あるいは家庭のどこかということになるわけです。ただ、その学校や地域、家庭の子供の居場所のすべてに大人の保護の目が届くということは無理だと思います。そこで、このCAPプログラムですけれども、子供の内にある力を引き出すことに重点を置いております。これまでの暴力防止策は、例えば、知らない人についていってはいけない、などという○○してはいけないという禁止形式でした。しかし、例えば、性暴力は加害者の六割から八割が知っている人という調査があります。知らない人についていってはいけない、という禁止文句では防ぐことができません。それよりも、危険な目に子供が遭ったときに、子供自身が何ができるかをきちんと教える方が意味があるわけです。そうした理念でCAPプログラムは実施されております。また大人のワークショップでは、子供たちがどんな被害に遭っているかを知ってもらいます。暴力に対する誤った社会通念も、大人が持っている社会通念も正します。例えば、明るい道でも犯罪は起こるのに、暗い道が危ないとか、男の子でも性被害を受けるのに、性暴力は女の子にだけ起こるとかいった決めつけがあるわけです。そして、ともかく子供の話を共感して聞くことが大切であることを教えるということです。暴力に遭った子供が話をしてきたときに、大人の聞き方によっては、子供はさらに深い傷を受けてしまう場合があるそうです。子供たちは暴力や差別などによって混乱し、内なる力が出せなくなっております。子供たちの気持ちを聞き、自分で問題を解決する力を出してあげるわけです。知事、教育長とも先ほどの答弁で、CAPプログラムに参加した子供や大人の反応は好評だったということでしたけども、CAPセンタージャパンのアンケートもまとまっております。それによりますと、例えば、CAPプログラムのワークショップを受けた後、あなたはいじめや暴力に遭わないで安心して生きる権利があると思いますかという問いに対しまして、受ける前が四一・一%、はいという答えだった子供たちが、受けた後は七四・二%に大幅にアップしております。また、このプログラム自体が楽しかったと答えた子供が九五・九%、よくわかったという子供が九四・九%、役に立つことを教えてもらったという答えが九六・九%と、おおむね子供たちが大変よかったという答えを出しております。
またCAPプログラムは、蔓延する虐待に──きょうもニュースで朝やってましたけれども、虐待に対するワクチンの役割をすると指摘している精神科医のお医者さんもいらっしゃいます。実際に、幼児のころから虐待を受けていた小学生がCAPプログラムを受けて、初めて自分が家庭内で虐待されているということに気づいた、そして先生やCAPスペシャリストに相談し、解決が図られたというそういう話を聞いたこともございます。私自身も数年前、児童虐待の現場で仕事をしているお医者さんの話を聞いたことがあります。写真を見せてもらいました。背中一面にやけどをした幼児がいました。そのやけどはアイロンの跡でした。父親にけられて肝臓が破裂したという小学生の少女がおりました。彼女の肩甲骨はそれよりもずっと前に骨折し、自然治癒した跡がありました。そんな写真を見ながら、私は子供たちの悲鳴が聞こえてくるような思いでした。私は子供の悲鳴は聞きたくありません。笑顔を見、笑い声を聞きたい、そのためにできることは何でもやっていきたい、そんな思いでいっぱいでございます。私自身も、まずCAPの大人のプログラムを受けてみようと今思っております。知事、教育長におかれましても、大人のプログラムをぜひ受けてみてはどうでしょうか。そして埼玉県などの先進地をぜひ研究していただきたい、子供たちの笑顔があふれる福岡県づくりのために、CAPプログラムの普及を図っていただきたい、このことを切に要望し、一般質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。