平成16年12月定例会(平成16年12月10日 本会議)

たかはし雅成質問:

皆さん、こんにちは。公明党の高橋雅成です。通告に従いまして、早速一般質問に入らせていただきます。

初めに、母子家庭の母親の就業支援策について質問します。

近年、年間三十万組近くになる離婚件数の増加に伴いまして、母子家庭と父子家庭が増加しています。その中でも母子家庭が急増し、全国では平成十年の調査で九十五万四千九百世帯にも達しております。平成十三年度の福岡県母子家庭等実態調査によりますと、県内には六万二千百六十二世帯の母子家庭があり、福岡、北九州両政令市を除いても母子家庭の数は三万四百七十六世帯に上っています。その母子家庭の実態は、子育てと生計の両立に悩み、住居、収入、子供の教育など生活のさまざまな面で困難に直面しているのが実情となっております。厚生労働省の資料などによりますと、約八割の離婚母子家庭には養育費が支払われていません。このため、八五%の母子家庭の母親が就業していますが、一世帯当たり平均所得は二百四十三万五千円で、世帯人員一人当たり平均所得は九十四万円となっております。これは、一般世帯の一世帯当たり平均所得六百二万円、世帯人員一人当たり平均所得二百十三万五千円の四割にすぎません。また、高齢世帯の平均所得三百四万六千円、世帯人員一人当たり平均所得百九十五万三千円と比較してもはるかに低い水準となっております。また、母子家庭の平均所得二百四十三万五千円の内訳を見ると、八〇・四%が稼働所得、四・二%が公的年金や恩給、それ以外の児童扶養手当などの社会保障給付金が一三・二%などとなっております。

母子家庭の母親は、就職をすることそのものに困難を感じ、就職のために子供を保育所に預けることに困難を伴い、就職をしても低賃金や不安定な雇用条件に悩まされるなど、あらゆる困難に直面しながら、それでも働かなくては生きていけない、そういう社会になっているわけです。厚生労働省の調査でも、現在の暮らしについて大変苦しいと答えた人が四〇・九%、やや苦しいと答えた人が同じく四〇・九%と、合わせて八一・七%の人が生活が苦しいと感じております。こうしたことから、母子家庭に対する生活支援策の充実、就業支援策の強化、扶養義務の履行の確保、児童扶養手当制度の見直しなどを盛り込んだ母子及び寡婦福祉法等の一部を改正する法律が一昨年十一月に成立し、昨年四月から施行されたほか、昨年八月には母子家庭の母親の就業の支援に関する特別措置法が施行されております。

そこで伺います。これら法律で規定された自立支援教育訓練給付金事業、高等技能訓練促進費事業、常用雇用転換奨励金事業などの就業支援策、さらに国、自治体の努力規定とされた養育費確保のための環境整備について、本県はそれぞれどのように実施し、どの程度の成果を上げたのかお示し願います。

また、その成果について知事はどのように評価をするか、今後の課題は何かについてもお答え願います。

また、母子家庭等就業自立支援センターへの相談件数と、センター事業での母子家庭の母親の採用件数、その常勤、非常勤の別について実績はどうなっていますでしょうか、その評価を含めてお示しください。

さらに、国や県市町村の非常勤職員に、同センターを通じて母子家庭の母親を積極的に採用するよう厚生労働省が通達を出しておりますが、その実績はどうなっているでしょうか。国、県、市町村、その他団体の別に数字を明らかにしていただきたい。

最後に、就業支援特別措置法は平成二十年三月までの時限立法となっており、この年からは児童扶養手当の一部減額の可能性があるため、母子家庭の自立策は待ったなしの状態です。同法に都道府県は母子家庭の自立促進計画を策定することとされておりますが、本県の自立促進計画策定に向けた作業の進捗状況について伺います。

関連しまして次に、次の世代を担う子供たちが健やかに生まれ育つ環境を十年間で集中的につくるため、国、地方公共団体、事業主、国民が担う責務を明らかにした次世代育成支援対策推進法について伺います。同法が来年四月に全面施行するのに伴い、本年度中に母子家庭等の自立支援の推進を盛り込んだ行動計画の策定が都道府県、市町村に義務づけられているほか、仕事と子育ての両立などを目指した一般事業主行動計画の策定が、従業員三百一人以上の企業に義務づけられております。雇用する労働者が三百人以下の事業主には、同様の努力義務があるとしています。この一般事業主行動計画の両立指標に関する指針には、「男女労働者がともに育児や介護について家族としての役割を果たしながら充実した職業生活を営むことができる環境をつくることが、労働者の福祉の増進のために、ますます重要な課題となってきている。」とし、「働きながら子どもを産み育てやすい、また、介護問題にも対応できる雇用環境を整備していくことは、我が国の社会経済の活力を維持していく上でも、少子化の流れを変える上でも、重要かつ喫緊の課題」であるなどと、母子家庭の母親の就業支援にもつながる重大な提言をしています。仕事と家庭とを両立できる雇用環境の整備は、企業の自主的な取り組みが基本ですが、これを進めるためには、企業がみずからの雇用環境における仕事と家庭との両立のしやすさの対策を図ることが効果的であり、そのための進展度合いや不足度合いを評価できる指標が準備されております。県としては、そうした企業の努力に対し、積極的に支援をしていくべきだと考えます。

そこで、国の福岡労働局が進めている一般事業主行動計画策定の作業に対して、県としてはどのような協力あるいは支援をしているのか伺います。

また、県としても雇用環境の変革を求め、平成十五年九月から企業の子育て応援宣言登録制度を創設しておりますが、同制度のねらいは何なのか、また一年余を経過しての現状について説明を求めます。

次に、カネミ油症の問題について質問します。昭和四十三年に発生して一万四千人以上が被害に遭った、我が国最大の食品公害、カネミ油症事件について、厚生労働省がことしの九月二十九日、その原因物質と指摘されてきたダイオキシン類のポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)の血中濃度を患者の診断基準に公式に追加しました。診断基準の見直しは昭和五十六年以来、実に二十三年ぶりのことです。これにより、カネミ油症被害の原因物質がダイオキシン類であることが明確に位置づけられ、従来の基準では認定に至らなかった被害者にも救済の道が開かれることになりました。新たな診断基準では、PCDFの濃度の目安として、血中脂肪一グラム当たり五十ピコグラム以上───一ピコは一兆分の一です───は高い濃度、三十ピコグラム以上はやや高い濃度と明記し、おおむね三十ピコグラム以上であれば新たに患者として認定されることになりました。厚生労働省の全国油症治療研究班などの調べによると、新基準で実施される患者認定審査の対象者は全国十六都府県で計百十七人に上り、中でも福岡県が三十八人で最多、長崎県三十二人、広島県十三人と続きます。これまで油症患者と認定されているのは、亡くなった方を含めて千八百六十七人にとどまり、しかも過去十年の新規認定者は一人だけ。しかし、新基準が設けられたことで、平成十三年度から平成十五年度の定期検診でPCDFの血中濃度を測定したまま認定保留となっている約百人の被害者を中心に、年内にも数十人が新たに患者として認定されると期待されておりました。ところが、福岡県と全国油症治療研究班が十二月一日に行った審査会議では、十一都府県の未認定患者五十八人のうち新たに患者と判断したのはわずかに四人で、六人を保留したほか、四十八人は認定から漏れるという結果でした。患者と判断された四人の内訳は福岡市が二人、横浜市と栃木県がそれぞれ一人ということです。先に審査を終えた長崎県の十人を加えて、新基準の認定患者は計十四人。福岡での審査を終えた時点で、全国の対象者百十七人のうち残ったのは十六人だけで、この方たちの審査は昨日九日の夜に広島県で行われました。本日の一時から広島県がこの結果を発表しておりまして、議場に入る前確認したところによりますと、四人が新基準で患者であると判断されたそうです。男性二人、女性二人ともに広島県在住の方だそうです。これにより最終十八人の方が新しく患者と判断されました。

そこで、幾つかの疑問について質問します。

まず今回の審査会議について、患者認定が四人だけだったことの原因は何でしょうか。また、二世、三世の方は今回の認定審査の対象者に含まれていましたでしょうか。要経過観察とされた保留の六人は今後どのようになるのかについて説明を求めます。

カネミ油症患者には、未認定のほかに未届けの患者が相当数存在するという指摘が以前からありますが、この未届け患者の県内の人数は推定されているのでしょうか。未届け患者に対しても新基準による診断が必要と判断しますが、県の考えはどうでしょうか。二世、三世、未届けを含め、今後患者の掘り起こしが必要と思いますが、県としてどのような取り組みをされるのか見解を求めます。

また、治療班は訪問検診は行わないという考えのようですが、患者は高齢化しており、検診のために会場に出向くことも次第に困難になっております。県は検診態勢の充実についてどうお考えでしょうか。

また、生活苦、経済苦に苦しんできた被害者に対する生活支援は考えられませんでしょうか。今回の検診において、カネミ油症被害者支援センターが診断内容などの情報公開を求めておりますが、この点に関してどう判断されますか。

最後に、今後新基準による検診は続けられるのか、その見通しについて御説明願います。

以上で私の最初の質問は終わります。ありがとうございました。

麻生知事答弁:

母子家庭の母親の皆さんに対する就業支援策でございます。本県におきましては、従来から就業支援講習会、就業資金の貸し付けを行っております。昨年の八月からは、これに加えまして給付金事業の実施を始めております。この給付の実績でございますけれども、自立支援教育訓練給付金が十四名、高等職業訓練促進給付金が二十八名となっております。これらは、今後具体的に就業に結びつくものと期待をいたしております。また、離婚後の養育費の確保を図りますために、母子家庭のお母さんの方から相談を受けますいろんな機関があるわけでございますが、その機関に対しましては、どのような形で具体的に相談に応じるべきかということにつきまして手引も作成いたしまして、相談の充実に努めてまいります。

母子家庭の母親にとりましては、安定的な収入を確保するということが課題であります。したがいまして、やはりそれにつながるような技能の習得をしていく、加えましてこれに対応いたしまして職業紹介の充実を図っていく、そのための自立支援センターの機能を十分発揮させるようにしていかなければいけないと考えております。

母子家庭就業自立支援事業についてでございます。センターにおきます相談件数でありますけれども、昨年の八月から現在までには千五百五十三件が来ております。そして、このセンターの紹介によりまして母親が採用された正社員の数は八十一名でございます。パート、臨時職員が八十四名でございまして、合計百六十五名の方が職につかれたということでありまして、一年ということを考えますと、着実な成果が上がっておるというふうに考えております。

一方、公共機関の採用状況でありますが、国の方は求人が七名でございました。しかし、実際に採用したのはゼロであります。県の方は、十名の求人を出しまして具体的に五名の皆さんを採用いたしました。市町村の方では求人が六名でございましたが、採用はゼロでございます。関係団体でございますけれども、求人が五名でございます。実際に採用になった方は一人でございます。このような状況でございますけれども、一層関係機関にこの趣旨を徹底をいたしまして、求人がふえ、また採用がふえますように努力をしてまいる考えであります。

母子家庭の自立促進計画についてでございますが、これは総合的かつ計画的に支援を展開していこうという目的のもとに策定をするものでございます。現在、関係団体の皆さんからも意見を聴取するというようなことを積み重ねまして作業を進めております。今年度中に策定をする予定であります。

次に、次世代育成法の一般事業主行動計画についてでございます。これはどういうわけか国の事業、国の事務ということになっております。したがいまして、まずこれのちゃんとした実行責任を負うのは国であります。本来、こんなものを国の事務とするのは、この法律は非常に私はおかしいんではないかと思いますが、こんなふうにつくられてしまったというふうに思います。やはり地方分権、もっと徹底せないかぬ。そんなことでありますが、まず国がしっかりやってもらうということを徹底しなければいけないと思います。並行しまして、私どももできるだけ行動計画の策定が進みますように、いろんな機会におきましてできるだけの周知、啓発、情報誌による広報を進めてまいりたいと思っております。

県の方が実施をしております子育て応援企業宣言についてでございます。これは、一層企業におきましても子育てに熱心に応援をしてもらいたい、これを外からわかるようにしていこうということでございまして、新たにこのような制度を設けて積極的な普及を図っております。特に、子育て応援をする場合の具体的な中身でありますけれども、せっかく職業を得まして自分の能力で働いておると、しかし育児をしますときには育児休業をとる、その後、もとのように自分の能力を発揮して仕事ができない、経済的にも困るというようなことがありまして、なかなか出産しないということがございます。このような企業風土を思い切って変えるということが、この応援宣言の登録制度の大きなねらいでございます。したがいまして、各企業におきましては、このような育児支援の達成すべき内容をみずから設定し宣言をいただく、これを県といたしまして広く一般に広報する、企業イメージの高いものにしていく、このようなことを通じまして企業の意識を変えていく、社会の意識を変えていこうというものでございます。現在、登録を始めたばっかりでございます、三十九社でございますけれども、もっと広く普及をさせていきたいと考えております。

カネミ油症未認定者の検定結果についてでございます。今回の検定は、三十八名の方に対して行いました。うち三十五名の方は新しい診断基準に該当しない、したがって油症患者と診定されなかったというふうに診定専門委員の方から報告を受けております。三十八名の方の中には、いわゆる二世の方は含まれておりました。男性が八名、女性が八名の十六名であります。三世の方はおられませんでした。要経過観察とされた方につきましては、今後行います一斉検診を受検をしていただきまして、再度検定を行うことになります。

診定希望者の皆さんに対する対応でございます。カネミライスオイルを食べた方で申し出をされていない方の人数につきましてはどのくらいおられるかということは、事の性格上把握できない状態でございます。ただ、これらの方につきましては、申し出があれば疫学的調査、一斉検診の対象になります。一斉検診の開催に当たりましては、報道機関などに資料を提供しまして広く周知をしてまいりたいと考えております。また、一斉検診につきましては、今後とも継続して行うことといたしております。

検診態勢の問題についてでございます。この検診につきましては、現在、北九州市、福岡市、久留米市の三地区で開催をしております。多くの医師や医療スタッフ、各種の検診のための機材を必要といたしますので、どうしても施設の整った場所で行う必要がございますから、今後ともこの三地区という現行の方式をとりながら継続をしてまいりたいと思っております。

また、油症患者につきましては、平成十四年度から全国油症治療研究班に油症相談員制度が設けられました。この制度の充実について、さらに国の方に要望してまいる考えでございます。

診定結果と情報公開の関係についてであります。福岡県の情報公開条例、福岡県の個人情報保護条例、これに基づきまして対処するわけでございますが、当然個人情報保護ということで適切に対処してまいります。また、検診を受診された方に対しましては、それぞれの結果の通知を行っております。

たかはし雅成質問:

知事、御答弁ありがとうございました。要望が何点かございます。

母子家庭の母親の就業支援ですけれども、母子家庭等就業自立支援センター事業の実績については、その採用数とか、特に常勤職の採用数が、今答弁いただきましたけれども、この数を多いと見るか、まだまだと見るのか、それは人によっていろいろあるかもしれませんけれども、いずれにしましても相談者にマッチした、働きやすい職場探しに引き続き尽力していただきたいと思います。

また、センター職員が現在三名でしたでしょうか、お伺いしておりますけれども、その増員についてもぜひ検討していただければというふうに思います。

それから、国、県、市町村など非常勤職員の採用についてですけれども、今答弁いただきましたように、その数が余りにも少ないのじゃないかと。母子家庭のお母さん方が望んでいる職場とミスマッチの問題もあるとは思いますけれども、県を除いては昨年よりことしの方が求人数そのものも減っているということにも疑問を感じております。市町村や各種団体などに対し周知徹底を図るという御答弁いただきました。もっともっと積極的に、御答弁のようにアピールしていただきたいというふうに思います。

それから、三位一体の改革の中で、この事業が今後交付金化されたりとか、いろんな対象になる可能性もありますけども、非常に大事な事業でございますので、どういう形になるにせよ縮小されないように特に要望しておきたいと思います。

一般事業主行動計画について、なぜ国の事業なんだろうという知事の御答弁でしたが、私も全くそのとおり、地方でやるべき仕事だなというふうに感じております。今回の質問するまで、これが国の事業だということを、恥ずかしながら知りませんでした。地方分権にともに頑張っていきたいと思います。

それからカネミ油症問題ですけども、三十六年経っておるわけですけども、最近、三十六年後の状況について、ちょっといろいろ教えていただいたんですけれども、当時の胎児性油症の方、要するに二世の方ですけれども、この方で結婚して子供が生まれた。生まれた子供が油症三世児なわけですけれども、肌が黒い赤ちゃんが生まれたという証言をする方がいらっしゃいました。また、三世の子供たちはほとんどが虚弱体質というんですかね、いつもごろごろしたりして余り外出とかしない消極的な子供が多いと、そういうような話も聞いておりますし、いまだに体じゅうに吹き出物が出て病院通いが絶えないとか、いろんな状況もお伺いしております。結婚そのものもいろんな理由でできないという声もたくさんあります。こういう状況の中、この問題は平成十三年の十二月に公明党の山下参議院議員が参議院で質問しまして、当時の坂口厚生労働大臣がカネミ油症の主な原因物質はPCDFであるという答弁を国として初めて認めたことから新たな現在の救済の道が開かれてきました。しかし、これからも仮払金問題や人権の問題、公害認定の問題など多岐にわたる課題が山積しております。油症医療恒久救済対策協議会というのがありますけれども、こちらがついきのう、おととい───今月の八、九の両日、厚生労働省と農林水産省を訪ねまして、カネミ油症被害者の救済対策の要望をいたしております。第一義的にこの問題は国の問題ではありますけども、カネミ倉庫という原因企業が存在し、多くの被害者が生活している福岡県としても、被害者の生活のきめ細かい部分に光を当てたさまざまな対策を講じていただきたいと思います。

油症相談員の方に要望していくということでしたので、ただ、この油症相談員も大変人数が限られておるということですので、県としてもいろんな形で生活支援を講じる方法をぜひ考えていただきたい、そのように要望しまして質問を終わります。

ありがとうございました。