平成17年12月定例会(平成17年12月13日 本会議)

たかはし雅成質問:

おはようございます。公明党の高橋雅成です。広島、栃木、京都で連続して起きました凶悪な犯罪に巻き込まれて命を落としました子供たちの御冥福を祈りつつ、質問に入らせていただきます。

自分の次女を生後十八年間ほとんど外出させず、小中学校にも通わせていなかった福岡市博多区の母親が、先日、次女に対する傷害容疑で逮捕されました。福岡市教育委員会の資料や新聞報道などによりますと、この次女は、平成六年四月八日の小学校入学式を含めて一日も小中学校に登校したことがなく、不就学の状態が続いていました。女性が通うはずだった小学校の当時の校長や教頭、担任、生活指導教諭らが月に一回程度家庭訪問をしたが、母親や父親にもなかなか会うことができず、面会ができたときも、母親は、次女は家にいない、父親は、今のところ学校に行かせるつもりはないなどと答え、学校関係者や民生委員らは一度も次女に会うことができなかったということです。小学校では形式上の進学を続けたが卒業はできず、本来なら中学校を卒業する平成十五年三月まで原級留置として小学校六年生に在籍した後、除籍扱いになったということです。憲法に保障された義務教育である小中学校に通わせなかったという驚くべき事件であり、私はショックを受けました。さらに、この事件が特異で特殊な事件なのか、あるいはほかにも似たような実態があるのか、疑問を感じざるを得ませんでした。

そこで、まず教育長に伺います。この事件に関連した新聞報道で、県教育委員会は、県内の公立小中学校の不登校児童や生徒のうち、教職員らが面会できない状態にある実態について調査を進めているとのことです。児童虐待の現状調査も同時に行い、来年の一月中旬までに各市町村教育委員会から人数の報告を受けるとしています。しかし一方で、咋年三月の文部科学省の全国調査というものがあり、三十日以上連続して学校を休んでいる小中学校の不登校の児童生徒は、全国で四万九千三百五十二人おり、うち教員などが会えなかった児童生徒は約二〇%、千九百四十五人と、既に実態がわかっています。この調査によると福岡県では不登校児童生徒は二千九人、教員らが会えていない子供は、約一四%の約二百八十人ということです。改めて実態を調査することはよしとしましても、不登校で教員らが家庭訪問をしても会えない子供たちが二百人いることは既にわかっているわけです。教育委員会として、また現場の教員は、このような子供たちにどのような手だてを打ってこられたのでしょうか、お答えください。

また、長期間不登校となっている児童生徒の中に、今回の事件のような不就学の状態にある子供はいるのか、明らかにしていただきたい。さらに、今回の事件を受け、長期間不登校の子供たちに対し、新たにどんな救いの手を差し伸べようとしているのか伺います。

次に、知事に伺います。私は、親が子供を学校に行かせず、家に閉じ込めるという行為そのものが児童虐待に当たると考えます。事件後、福岡市の子ども総合相談センターは、これまでの対応に対し、一、不就学の児童生徒について、だれも本人の姿を確認していないという事実に対して、虐待の可能性を想定した慎重な判断を行うべきだった、二、慎重な判断のもと、除籍後も引き続き地域における見守り支援を行うとか、立入調査を含めた積極的な対応をするべきであったと考え、当時の対応は不十分であったと認識しているなどと反省しています。もっと学校と児童相談所が連携を強めていれば、早期に発見し、解決が図れていたのではないかと思いますが、知事の見解を伺います。

あわせて、こうした事件を県下で絶対に起こさせないための方策について、地域の見守り態勢の充実などが必要と考えますが、知事はどのように考えますか、御所見をお聞かせ願います。

次に、児童虐待の問題について伺います。ことし四月に児童福祉法が改正され、子供への虐待相談を受け付ける窓口が都道府県から市区町村に移行しました。県の児童相談所は、より難しい事例の対応に当たることになりました。ところが、ことし六月の厚生労働省の調査によると、市区町村に設けられた相談窓口の担当職員六千九百五十一人のうち、三割以上の三六・六%が一般行政職員で、保健士、助産師、看護師の資格を持っている人が二五・二%、専門知識を持つ児童福祉士はわずか五・三%だったことがわかっています。法改正についての研修も四割以上の職員が受けておらず、緊急対応のための夜間、休日の相談受け付けについても対応していない市区町村が五一・四%と半数以上に上っています。

そこでまず、この調査における福岡県の実態について教えていただきたいと思います。法改正直後のことであり、準備が不足していたこともあると思いますが、こうした実態では児童虐待の早期発見にはほど遠いのではないかと危惧します。県としてこうした状況をどのように考えるのか、また市町村の相談窓口を充実させ、機能を強化するため、どのような方策を考えておられるのか伺います。

また、法改正後、県の児童相談所はより難しいケースに取り組むことになっていますが、我が県の児童相談所が取り組んできた問題件数は、ことし四月以降、どのように推移しているでしょうか。また、市町村窓口との連携はどのようになされているのか伺います。

以上です。御清聴ありがとうございました。

麻生知事答弁:

児童虐待の早期発見についてでございますが、このために現在、児童相談所、学校などといった関係機関、これが密接、また適切に連携をするということによりまして、情報の共有化を図らなければいけない、これを進めております。これがあるということが子供たちの安全確認、そして早期対応する最も重要な出発点であると考えているからでございます。このような早期発見のためには、さらに児童委員といった地域の関係機関の間でネットワークを組むということがより効果的でございます。したがいまして、このようなネットワークの一層の充実を図りまして、児童虐待の早期発見、そしてまた未然の防止を図っていくということを進めてまいる考えでございます。

市町村におきます相談窓口がどうなっているかということでございます。県内の市町村の窓口の職員数でございますが、現在、百九十五名が配置をされております。内訳を見ますと、一般行政の方が四八%、保健士のような専門家が二四%、児童福祉士の資格を持つ方が五%というふうになっております。そして、このような方々を中心に、法改正に関します研修会を行っておりますが、これにはすべての市町村から参加をしております。

また、夜間や休日の相談を行います市町村は、現在三二%にとどまっております。県の方では、本年度より県の児童相談所におきまして、電話相談体制を整備いたしまして、市町村のこのような体制を補完するという対応を進めております。また、市町村職員を対象といたしまして、研修会などを行っておりまして、この分野の人材の育成を図っております。

また、市町村職員の家庭訪問に本県の職員も同行するというような形の対応も行っておりまして、市町村相談体制の充実強化の支援を行っている状況でございます。

児童相談所と市町村との連携についてでございますが、まず児童相談所におきます虐待相談の件数でございますが、十月末現在で四百九十六件でございます。また、市町村でも相談を受け付けることになりましたから、この数字は前年の同期よりも一割減少しているものになっております。受け付けております相談のうち、四分の一は市町村の方から、市町村の方で対応が困難だということで引き継いでいるものであります。児童相談所の方では、市町村におきます個別の児童の処遇検討会議などにそれぞれ担当の職員を出席させるという方法をとっておりまして、個別具体的に市町村との連携協力を進めております。

森山 教育長答弁:

家庭訪問等で会うことができない不登校の児童生徒に対する取り組みについてでございます。本県におきましては、不登校の児童生徒につきましては、各学校におきまして、信頼関係が築ける先生を中心に、マン・ツー・マンで対応するように指導をいたしますとともに、民生委員や関係機関等との連携による働きかけも行っておるところであります。そして、県教委といたしまして、その状況を月ごとに全県的に調査をし、実態を把握するようにいたしております。現在、県におきまして、家庭訪問等で会えない児童生徒につきまして調査を行っておりますけれども、今回の事件を受けまして不就学の状況につきましても調査を行うことといたしております。さらに、市町村に対しまして、個々の実態を詳細に把握するように通知をいたしたところでございまして、今後この調査結果に基づきまして、関係機関等と連携をして個別の対応を行うよう指導をしてまいりたいと考えております。

たかはし雅成質問:

知事、教育長、御答弁ありがとうございました。

最初に、市町村の虐待窓口の問題ですけれども、いろいろ話を聞いておりますと、やはり初めてことしの四月からこういう対応を市町村がすることになったということで、非常にふなれであるということで、今知事の答弁ありましたように、家庭訪問等に同行しているという、一緒に行動するということが一番大事であろうと私は思っておりますので、引き続き児童相談所との連携を強化していただきますようによろしくお願い申し上げます。

それと、不就学の問題につきまして、教育長に確認の意味で一問だけ質問したいんですけれども、いろんな新聞報道がその後なされておりますけれども、ある新聞報道によりますと、少女が十歳のころに、同じ団地に住む女性が会ったと。そして、そのとき少女が体じゅうあざだらけであったのに気づいて、博多区役所に情報を届けたということが報道にありました。また、市議会でのやりとりの中で、学校とか民生委員が交番に連絡し協力を求めたんですが、福岡県警から、事件性が認められないとして協力が得られなかったということがわかりました。結局、さまざまな行政機関がそれぞれにいろんな情報を持ちながら協力態勢を築けなかったがゆえに、この少女は十八年間犠牲になったんじゃないかというふうに思います。本当に取り戻しようのない十八年間だろうと思います。教育委員会とか学校現場は、児童相談所、県警と連携をさらに密にしていただきたいと思います。

そこで、先ほど教育長の答弁の中で、個別の対応を行うよう指導しているというお話でしたけれども、これからの調査で明らかになる長期の不登校について、数字を把握して、それでこれだけいるということで県として終わるのじゃなくて、一つ一つの事例として、一人の子供としてその子供にどう対応するのがベストなのか、そのことを学校がもちろん中心でしょうが、市町村や児童相談所、また場合によっては警察などと協議して対応すべきだというふうに思いますが、教育長の方針を再度確認しておきたいと思います。

以上で一般質問を終了いたします。ありがとうございました。

森山 教育長答弁:

長期間不登校の状態にある子供に対する対応でございます。前回の調査によりますと、なかなか本人と接触ができない理由といたしまして、本人の心身上の理由というのが六二%、保護者の拒絶によって会えないというのが一二%、本人の家出とか、徘回によりまして家にいないというのが七%、その他居どころが不明とか、連絡がとれないというのがございます。そこで、やはり個別の状況に応じまして、まず学校として保護者本人と粘り強く接触をするということが大事であろうというふうに思います。その際には、やはり子供の学習や社会的な自立を図って将来の成長を保障するという熱意と使命感を持って、保護者との信頼関係を築いていくということが大事であろうというふうに思います。

そして、やはり不登校の理由、実態というものをきちんと究明をいたしまして、その個別の状況に応じて地域の人たちや福祉関係、医療その他関係機関の協力を得ながら、粘り強く対応をしていく必要があろうというふうに考えております。